第3コース
「機器分析による食品の異物分析の基礎と実際」

 

東京薬科大学薬学部  小谷  明

 

112日(金)、(株)島津製作所・東京支社イベントホール(千代田区)において、日本分析化学会関東支部主催の標記講習会を開催できた。受講者数は46名であり、食品あるいは分析メーカーにおいて実際に異物分析に携わっている方々が、多く参加された。本コースは、『食品の異物分析』に焦点を当て、講義の後に異物分析に利用される分析機器とデモンストレーションの見学を行う1日間コースである。

当日は、支部長の前田 瑞夫 氏(理研)による開会挨拶の後、次の3件の講義が行われた(写真1)。

写真1 講義の様子

 

1 食品・ゴム・プラスチック中の異物分析手法と事例: 渡邊 智子 先生(化学物質評価研究機構)

2 東京都における、食品中の異物検査事例: 田口 信夫 先生(東京都健康安全研究センター)

3 食品企業における異物鑑定の実際: 宮下 隆 先生(キユーピー(株))

講義は、異物分析の手順、分析法・分析機器の選定、留意すべき事項を中心に分かりやすくご講義頂き、さらに、各分野でこれまで取扱ってこられた事例を挙げ、サンプリングや前処理方法、スペクトル解析の例、異物分析の参考図書、経験やノウハウ等についてもご紹介頂いた。これらの講義を通して、受講生は異物分析を実践する上で重要かつ有益な基礎知識を得ることができたと思われる。

講義の後は、(株)島津製作所 分析計測事業部の技術者より異物分析に用いられる分析機器ならびに機器のデモンストレーションを見学した。受講生はまず、講義形式で『X線透視装置』、『フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)』、『エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)』に関する解説を受けた後、10数名の班に分かれて、ローテーションを組み、X線透視装置、FT-IREDX、マニピュレーターを見学し、さらにデモンストレーションでは、(株)島津製作所ならびに(株)マイクロサポートの技術者の方々には、質問に対する解説も含めて懇切丁寧な指導を頂いた。

デモンストレーション終了後は、全体の質疑応答、受講証授与、情報交換会を行った。情報交換会では、本講習会の講師の先生方、島津製作所の技術者、受講者の方々が、気楽な雰囲気の中での質疑応答や意見交換を行うことができた。講師の先生方には、最後までご臨席賜わり、盛会裏に終了することができた。講習会後に行った受講アンケートからも、講習会の内容が充分満足できるものであり、当初の目的も達成できたことがうかがえた。

最後に、貴重な講義を賜わった講師の先生方、ならびに会場のご提供や準備・進行に多大なご尽力を賜った(株)島津製作所の皆様に、心より感謝申し上げます。